2月の月が綺麗でした!
南紀の海岸線を車で走っていると、緩やかなカーブの先に夕焼けが広がっていました。
山の向こうから、まんまるな月がゆっくりと姿を現します。
その瞬間、胸の奥がふっと温かくなりました。
どこか少し、寂しさも感じる光でした。
「わぁ、お月様きれい」
助手席の娘の声は、子どもの頃のまま無邪気で澄んでいます。
私はつい言いました。
「お月様は10月が一番きれいなんだよ」
言ったあとで、ふと思いました。
私はどうして、すぐに順位をつけてしまうのだろう。
すると娘は、そんなことはまったく関係ないというように、
「きれい。きれい」
ただそれだけを繰り返しました。
その言葉を聞いた瞬間、私ははっとしました。
この子は、誰かと比べなくても、勝たなくても、
世界の美しさをそのまま受け取れる心を持っている。
私はいつの間にか、
「一番」「評価」「結果」という言葉に縛られて生きてきたのかもしれません。
「一番じゃなくてもいいよね」
そう言うと、娘は月を見つめたまま、静かにうなずきました。
あの夜の月は、ただ美しかっただけではありません。
私に、比べずに生きる幸せを思い出させてくれた月でした。