ベッドから起き上がり、道を開けると、部屋は騒然としていた。
テレビが倒れている。
ベランダには椅子があり、テーブルは壁に押し当てられている。
コーヒーメーカーは畳の上に放り投げられ、コップやカップ、皿の破片が散らばっていた。
食器棚も倒れていた。
窓の外では、真夏の太陽の光が容赦なく降り注いでいる。
海はエメラルドブルーで、静かな波が立っていた。
時々、鳶が水平に飛び、我が家をちらりと横目で見ていく。
――奥さん、大変だったね。
鳶がそう言った気がした。
私はソファーに座り、ドコモの携帯電話を探した。
位置検索サービスを使う。
「お客様がお探しの携帯電話は、この地域の海岸から半径50メートル以内で電波が確認されております」
あの海岸のベンチに、彼はいる。
え?
逮捕されたら警察に留置されるんじゃないの?
警察は彼をホームレスにしたのだ。
思わず携帯を握りしめた。
もし彼の身に何かあったら、
どう責任をとってくれるのか。
怒りが込み上げてきた。
また夏空を鳶が水平飛行し、私を見た。
――お前、馬鹿か。
そう言われた気がした。
私は携帯をソファーに投げた。
全身が痛かった。
心の方は、もっと痛かった。
今回は、やっと警察がわかってくれた。
彼は警察に連行されたのだ。
私は痛い。
体を医師に見せなければならない。
それなのに、なぜ私は行きたくないのだろう。
なぜ私は、彼を心配してしまうのだろう。
こんな真夏の暑い日に、
冷房もない場所にいて、
熱中症にでもなっていないだろうか。
もし彼が倒れたら、
誰が面倒を見るのだろう。
そう考えている自分が、怖かった。
鳶がもう一度旋回し、私を見た。
まるで裁いているようだった。