選択の日24日目 微調整で立て直せる

選択の日26日目 通院の日(完成版)

自然と目が覚めた。
場所が変わっても、状況が変わっても、目覚める時間はほとんど同じ。私の体内時計は優秀だ。

何年前だったか。眠れないと息子に連絡したことがある。
「医学書に載っている方法は朝日を浴びること。十分でいい。いろいろな健康法があるけれど、医学書に載っているものは少ない。本当に少ない。騙されないで。」

それ以来、私は毎朝朝日を浴びる。
犬の散歩は必須だから、目が覚めたらそのまま外へ出る。ちょうど日の出と重なる時間だ。

続けているうちに、夜中に目が覚めなくなった。寝つきも自然と良くなった。
太陽は、いちばん簡単な薬かもしれない。

娘も同じ時間にホテルで目を覚ました。
だが朝食バイキングまではまだ一時間ある。再び眠り、そして時間になるときっちり起きた。

娘は一品料理だと食べ過ぎるのに、バイキングだと量が減る。
目で楽しむタイプだ。

チェックアウトを済ませ、ブックオフに寄り、通院へ向かった。

採血、栄養指導、診察。

夜間せん妄のように食べてしまう。
昼に抑えても、夜に結局食べる。
一日四食のようなものだ。

栄養指導中、栄養士のパソコンに血液データが届いた。

HbA1c 9.3。

娘が「わぁ」と声を上げる。
栄養士の顔も曇る。

私は思わず言ってしまった。

「どんだけ食べてる?」

昨年12月は6台だった。
空腹時血糖480、TG800。
和歌山に来る前の状態に逆戻りしている。

それでも娘は元気だ。
活動量は回復している。

立て直しは単純だ。
夜、眠剤を使えば夜間の食事は止まる。

料理も見直す。
小麦粉と油が多い。
インスリン抵抗性の悪化は自然な流れだった。

だが、娘は今回、自分から料理を始めたのだ。
それは後退ではない。前進だ。

皮肉にも、精製小麦粉と油の組み合わせがインスリン抵抗性を高めてしまった。

けれど同じ料理でも、
オートミール粉や全粒粉小麦粉に変え、
油を控え、クッキングシートを使えばいい。

全部を否定する必要はない。
微調整でいい。

カルロスが発射前に何度も軌道を修正するように、
娘の身体も微調整で数値は改善する。

壊れているのではない。
調整が必要なだけだ。

「一日一食でいい。」

私は言った。

「お腹がすいたら野菜や小豆スープ。」

対策はすぐに浮かぶ。

その足でつねちゃんの家へ寄った。

ご主人91歳の血液データを見せてもらう。
娘よりもきれいな数値だ。
ほとんど健康体。
ただ、緩やかな腎機能低下がある。

最近、梅干しを毎日三個食べているらしい。

「一日一個にしましょう。半分ずつ。」

「わかりました。」

91歳は素直で元気だ。

帰宅後、娘に話す。

日野原重明は約50年間、一日一食生活を続け、百歳を超えても現役だった。

「人生、一日一食でもいいじゃないか。
好きなものが食べられれば。
二食は野菜スープでもいい。」

血糖値を一時的に下げる方法はいくらでもある。
問題は、生き方として本人が受け入れるかどうかだ。

好きなものを好きなだけ食べて短く生きることも、
気を付けて少し長生きすることも、
本人の自由である。

自分軸で、自分が選ぶことが肝心なのだ。

分からない。

しかし、もし私より先に娘が逝くような事態になったら、
私は精神的に必ず病む。

それでも、選ぶのは娘だ。

明日はカルロスの発射予定日。
そして夕方には在宅ワークの面接が二件入っている。
準備は何もしていない。

寝る前、娘が言った。

「眠剤ちょうだい。」

明日からまた、ワクワクする毎日が始まる。

私より先に眠った娘が、唸り声をあげる。
苦しそうに。

それでも私は、眠るしかない。

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