今朝のミイの散歩は、また山にしようと思った。
猿に襲われそうになったばかりなのに、私はまた山を選んだ。
山道の入り口に立ち、少し入ったところでミイのリードを外す。
ミイは勢いよく山を駆け上がっていった。
……しかし、今日は私の視界から消えなかった。
そして、すぐに私の足元に戻ってきた。
ミイは分かっているのだろうか。
目を離したら、また私が猿に狙われることを。
ミイにとって、私はかけがえのない存在のようだ。
可愛い。本当に可愛い。
「ミイ、海に行こう」
私は選びなおした。
海辺の公園は、この小さな町では「ハワイ」と呼ばれている。
広い公園の向こうに見える山々が、ハワイのダイヤモンドヘッドのように見える。
その山の向こうから朝日が昇る。
整然と並ぶヤシの木。
その向こうには青い海が広がっている。
小さな湾はほとんど波が立たない。
私はミイを放した。
ボールを投げると、ミイは喜んで取りに行く。
ボール遊びが大好きだ。
でも同じくらい、この広い公園を自由に散策するのも好きだ。
私は腰を下ろした。
一定のリズムで波が打ち寄せる。
今日は晴天。
贅沢な時間だ。
海を眺めていると、時間の感覚がなくなる。
ふと我に返る。
ミイはどこへ行ったのだろう。
呼ぶと、ミイはすぐ戻ってきた。
もういいかな。
私は再びリードをつけ、公園をゆっくり歩き始めた。
すると、私の名前を呼ぶ声がした。
「お久しぶりです」
毎朝この公園に散歩に来ている、85歳の男性だった。
「大変だったんだよ。肩が痛くてね、バーっと出たんだ」
「えー、帯状疱疹?」
「原因は分かってるんだよ。薪を背負ったんだ。無理したんだよ」
このおじさんは薬剤師だ。
講義をしたり、アメリカに留学したりしていた人だ。
「ステロイド持ってない?」
「あります」
「ステロイド軟膏があれば良かったんだけどね。もう飲み薬になったよ」
「何か月前ですか?」
「一か月前。もう良くなったんだけどね。まだピリピリする」
「もしかして暖炉があるの?」
「あるんだよ。ロマンチックでいいんだけど、薪が一日でなくなる」
「素敵!」
「免疫を上げるしかないよね」
「アメリカだったらサプリでなんとかなるかもしれないですね」
「NACいいよ」
「日本はグルタチオンがあまり知られてないですね」
やはり薬剤師さんとは話が専門分野に及ぶ。
お互い現役は引退したけれど、
だからこそ現代医学の問題点が見えてくる。
本音で語れる。
思いがけず楽しい時間だった。
もしかしたら、ミイが会わせてくれたのかもしれない。
帰宅すると、朝食の良い香りがしていた。
思考し、選択し、決意し、言葉にし、継続する。
それが習慣になる。
そして習慣は運命を変える。
そのことを、娘はもう知っている。
今日も私はパソコンを整え始めた。
ココナラのプロフィールを充実させたい。
しかしアイコンがなかなか作れない。
二時間格闘した。
昼食を食べると眠気が来て、三時間も昼寝してしまった。
その間、娘は初めて町を散歩していたようだ。
「初めてのおつかいみたいだった。トンネル通るの怖かったよ。
この辺、暗くなったら私爆死だね」
嬉しそうに笑っていた。
昼寝から目覚めると、脳が完全にリセットされていた。
もう一度アイコン作りに取り組む。
すると、成功した。
画像を作り直すというアイディア一つで、作業は一気に進んだ。
その後、求人を探し、会社の情報を調べ、夜に保存する。
AIは労働条件から簡単に月収を計算してくれる。
AIという相棒は頼もしい。
こういうのはズルなのだろうか。
ズルだと言う人もいるだろう。
便利だと言う人もいるだろう。
知らない人もいるだろう。
私の場合は、好奇心だ。
やってみないと分からない。
やってみたら、便利で面白かった。
もし面白くなかったら、便利でもやめていたと思う。
少しずつだけれど、私のパソコンスキルは上がっていった。
寝る前に「寿司打」をやってみた。
3000円コースで、最高成績は −90円。
私にとってパソコンは、ゲームのようなものだ。
別の言い方をすれば、おもちゃ。
子どもの頃、パソコンは一握りの人しか扱えない機械だった。
それが今、私の家にあり、
私はキーボードを叩いている。
憧れが現実になっている。
私が応援しているYouTuberが裁判で勝訴したらしい。
淡々とした報告を聞きながら、
私もそろそろ弁護士に相談しようと思った。
そんなことを考えながら、眠りについた。